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「楽しい」が育む教室の未来:村越先生の講演から考える学級経営の姿

(きりっとした表情で舞台に立たれていますが,実際は若さを生かして,たいへんアクティブに振る舞われていました。座席にまで降りていって,フランクにマイクを学生個々人に向けてお話を伺うということを頻繁に行っていました。)


本日、学部2年生対象の「学級経営の理論と実践」の授業に、新潟大学附属新潟小学校の村越千紋先生をお招きし、貴重なお話を拝聴しました。私は,昨年度の新潟大学附属新潟小学校研究公開において,村越先生と子どもたちが展開した授業を見学しており,子供たち自信が自分の学級の主体者なのだという自覚を持って進めていく授業に感銘を受けていました。ですので,とても楽しみにしていました。

結果,期待通りの学び多き時間でした。

村越先生の講演は、ご自身の経験に基づいた「教師の自己変革」と「子どもたちとの楽しい関係づくり」というテーマが印象的でした。大学院生時代に学んだ授業(なんと,赤坂真二先生の授業)「民主的コミュニケーションを活用した学級づくり論」や「勇気づけの学級づくり論」をもとに、当時の苦悩と、それが今の実践にどう繋がっているかを赤裸々に語ってくださったことは、学生にとっても大いに学びがあったことでしょう 。


「子どもが可愛いというだけでは教師の仕事は務まらない」という「赤坂先生の名言」を胸に刻み、現場に出てから深く理解されたというお話は、胸に迫るものがありました。初任者の頃の「自分と比べる苦しさ」や「力のなさ」を感じる時期は、多くの教師が経験するものです。しかし、そこで「変わるべきは私だった」と気づき、子どものポジティブな側面に目を向け、言葉や行動の背景を考えるようになったという変化は、まさに自己変革の賜物であり、教師としての成長の証だと深く共感しました 。


特に印象的だったのは、村越先生がご自身のキャラクターを「父性」と分析し、それを意識的に使い分けているというお話です 。これは、自身の特性を理解し、それを教育実践に活かすという点で、教師としてのプロフェッショナリズムを感じさせます。単に理想を追い求めるだけでなく、現実の自分を直視し、どうすれば子どもたちにとってより良い環境を提供できるかを深く考えているからこそできることだと感じました。


そして、村越先生が最も大切にされている「楽しい」という価値 。これが「自分だけが楽しい」「私もあなたも楽しい」「みんなが楽しい」という三段階に分かれているという視点は、学級経営における「つながり」の重要性を深く示唆しています。特に、グッジョブタイムやグッジョブカードといった具体的な実践は、子どもたちがお互いの良いところに気づき、認め合うことで、学級全体の温かい雰囲気と自己肯定感を育む素晴らしい取り組みだと改めて感じました 。


ある子どもが、村越先生の学級で居場所を見つけ、友達が増え、成長していく過程は、教育の持つ無限の可能性を示すものであり、胸を打たれました 。それはまさに、「共に学ぶための足場を作る」という村越先生の信念が、子どもたちの心に届いた証拠でしょう。グランドルールの策定やコミュニケーションの量を増やす工夫、目標の共有、そして協同学習の導入といった具体的な手立ては、子どもたちが主体的に学級を創り上げていく上で不可欠な要素であり、その実践の質の高さには目を見張るものがあります 。


村越先生のお話は、教師という仕事が、単なる知識の伝達に留まらず、子どもたちの心の成長に深く関わる人間的な営みであることを改めて教えてくれました。そして、そのためには教師自身が常に学び、自己を振り返り、変革していく姿勢が不可欠であると。

「あなたが教師になる上で大切にしたいことは何ですか」という村越先生の最後の問いかけは、この授業の受講生のみならず、全ての教育に携わる者、そしてこれから社会に出る全ての人々にとって、深く考えるべきテーマだと思います。私自身も、この問いを常に心に留め、学生たちと共に、より良い教育実践を追求していきたいと思います。


村越先生、本日は素晴らしいご講演をありがとうございました。私も、村越先生のように、子どもたちの「楽しい」を育む教室を考えていきたいと思いました。

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