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大村はまから学ぶことがあるのか(学生たちとの対話から考える)

授業について

本学では学部1年生全員と一部の大学院1年生が受講する必修科目があります。

まだ,コースやゼミの所属がない学部1年生にとっては,この科目が言わば,学級活動,ホームルームという扱いになります。実際,学部1年生では他の科目と違って,1週間どんなふうに過ごしていたか,最近の授業や大学生活はどんな感じか情報交換をしている姿が見られます。

わたしは,今年,大学院1年生のあるクラスを担任しています。


「新編 教えるということ」について

言わずとしれた,大村はまさんの名著です。

この科目において,この時期,全員がこの本を読んで,4分程度のスピーチ原稿を作成してきて,クラス内で発表することになっています。


興味深い,批判的な意見

一人ひとりが,大村はまさんの考え方を肯定的に受け止め,自分の学びに生かすような文章を書いてくる中,ある一人の学生が,批判的なスピーチをみんなに投げかけました。


大村はまさんは

「あなたがたの先生がどんなに偉いかたであっても,すでに過去の人なのです」

と書いているが,大村はまさん自身がまさに過去の人である


というのです。

確かに,時系列的には「過去の人」ですが,この学生は,時間的なこと以上に(というか,時間的だから仕方ないのだろうけど),この書籍に書かれている大村はまさんの時代背景(例えば,性差別や保護者は学校にクレームは言ってこないという時代)とそれを受け入れた上での考えや実践は,今の私たちには参考になるものが少ないのではないかという主張でした。


大村はまさんという偉大な先生……

という流れで進んできた教室の空気が一変しました(笑)。


たぶん,ここまでではないにしても,各学生は大村はまさんが生きていた時代と今の自分の生活をどのように重ね合わせてよいか微妙なズレがあっての中での肯定的な受け止めというか消化だったと思うのです。


この発言があった後,

「たしかに,自分もそのように思うところはあったけれど……」

みたいなところから,語り直し,読み直し,考え直しが始まりました。


互いを尊重した中での,「反論」はこうも,話し合いの場を活性化させ,深めます。

これ以上の詳しい話の内容は,学生たちに許可をとっていなかったので避けますが,真剣に教育を考える姿,素晴らしいですよ,今の学生は。


もちろんね,ここからいかに深めるか,広めるか,当事者意識を持つか……など,いろいろと分岐点はあると思いますけどね。






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