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ベースを共有した先で、一緒に新しい方向へ向かう段階になってきた

18 時間前
読了時間: 6分

共有したベースが、同じ方向を向く土台になってきた

2026年10月9日、福島県本宮市の学習アドバイザーとして、今年度3回目のパイロット校(小学校)の授業研究会と、その後の時間に出かけてきました。

今年度はメンバーが入れ替わっています。そこで、主体的・対話的で深い学びや、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実の土台になると思っている学びのモデルを、恐る恐る共有してきました。うれしいことに、ここの職員の皆さんは、それを受け入れてくれる姿を見せてくれました。少なくとも、私はそう受け止めています。

背中を押してくれたのが、先日参加した日本協同教育学会の研究大会です。大阪府大東市立南郷中学校の公開授業を見たとき、考え方も進め方も、私が提案している学びのモデルとほぼぴったり重なっていました。頭の中で考えていたものが、目の前で現実として動いていたのです。これを、それなりに強く押しても大丈夫だ、という確信がそこで生まれました。

今回の授業は、その確信を持ったうえで、授業者の先生と事前に2回、オンラインで授業案を検討しながら進めてもらいました。

授業に完成はありません。青天井で、理想や希望はいくらでも載せられます。100%これが素晴らしい、と言い切れることは、なかなかないと思っています。そのうえで、向かう先を同じにした先生たちと授業をつくっていくのは、とても楽しいです。話をしながら、そこに向かっているかどうかをお互い確認できる段階にいます。その心地よさを、今回あらためて感じました。


子どもたちが「今まででいちばん」と言ってくれた

授業をしてくださった先生も、すごく納得してくださっていました。それと同時にうれしかったのが、子どもたちの反応です。その日の音楽の授業について、今までの音楽の授業のなかでいちばん面白かった、楽しかった、というような発言があったと聞きました。

授業づくりの手応えと、子どもたちのポジティブな反応が重なりました。この方向でやっていっていいのではないか、と思ってもらえた気がして、私も大変うれしくなりました。


検討会は、授業者との対話を中心に組んでみた

この段階まで来ると、授業後の検討会も、お互いが満足できるものになっていくことが多いです。

9月の訪問のとき、次は授業者に焦点を当て、そのやりとりをみんなに聞いてもらう形にしたい、と考えていました。今回の検討会は、その試しでもありました。

授業者の先生と私が対話する形です。私がファシリテーターとして授業者から聞き出し、同時に、聞いている教職員の皆さんには、今の話についてどう思っているか、どう考えているかを、グループやペアで話してもらいます。そのあと、フィードバックしてもらう。そういう進め方です。

指導助言者がいて、授業者の反省があり、質疑応答があり、少し協議があり、最後に上から目線の指導がある、という形です。せっかく授業をしたのに、やらなければよかった、のような空気で終わる検討会は、もう多くのところで避けようと工夫されていると思います。

もともとこの学校の検討会は、進んでいます。電子黒板などを使い、グループごとにファシリテーターを置いて、自分たちの観点をもとに、どう感じたか、どう考えたかを共有します。その段階だけでも、十分すぎるくらいです。

そのうえで今回は、授業者にもう少し焦点を当ててみました。授業者のリフレクションを中心に、認知と感情の高まりを、みんなでポジティブに上げていこうとしました。授業者との対話を軸にした振り返りです。どうなのだろう、と思いながらやっていました。

正直に言うと、私自身の手応えはまだ中途半端です。この進め方のほうがいい、というフレームが、できたようで、まだできていない感じです。ぼんやりしているところがあります。そこに、全体の司会を進めてくださった先生が、「対話の形式、なかなか面白くていいですね」と言ってくださいました。肯定的に受け止めてもらえたのだな、と私は解釈しています。この方向でいろいろやっていくのもありだ、と思っているところです。


「わかってもらう」の次は、自分たちで工夫する段階

その後、60分近くの講話の時間をもらっていました。

教育観や授業観のようなものは、すでに何度も共有してきています。いま問われているのは、皆さんがそれをどう納得し、どこまで自分のものにしているか、だと思っています。その日は、多くの方が共感し、その方向でやっていこう、やってみたい、という気持ちを持ってくださっていました。話していて、私の中でもいい感じでした。

ベースが共有できているいまは、今後どこに視点を置き、どういう進め方をすればよいかを一緒に考える段階です。自分たちのキャラクターや授業観と、私が提案している学びのモデルを土台に、学習者主体の授業をどう展開していくか。そのフェーズに入っていったのが、すごく面白いです。

今後もこのパイロット校では、同じような授業研究会をしたり、地域限定かもしれませんが、みんなに見てもらうような授業研究会をしたりする計画があるそうです。自分たちで主体的に学んだことをアウトプットしていこう、というところです。昨年度、この学校はすでにそれをやっていました。同じ気持ちを持った先生方がまたいて、実際にやろうとしている姿が、眩しいくらい素敵です。


入り口の先を、一緒に経験できる仲間がいる

私自身、学習者主体の授業や、ファシリテーション型の授業の講座や講演をしています。そういう場は、入り口で終わってしまったり、基礎・基本の再確認で終わってしまったりすることが多いです。回数を重ねて、話すこと自体には慣れてきています。

本当に大切なのは、その先にどうつながっていくかです。そこは、私自身が経験しないと、腑に落ちた形で話したり、紹介したりできません。

今回のパイロット校は、私と一緒に新しいところへ踏み出してくれる、研究仲間のような感じになってきています。すごくうれしいし、面白いし、ありがたいです。私の関わりがパイロット校の手応えになり、パイロット校が実践した手応えが、私の研究や実践をほかへ広げていく事例になっていきます。そんな感覚に、ちょっとずつなっています。

今年も残り何ヶ月かあります。そこへつないでいけたらいいなと思います。私としては満足する1日でした(先生たちもそうだといいな)。いつも主体的に取り組んでくださって、ありがとうございます。


おわりに

ベースを共有できたからこそ、同じ方向を確認しながら授業をつくれる段階に来ました。検討会も、講話も、一緒に工夫するフェーズへ移りつつあります。

この先は、入り口を語るだけでは届きません。目の前の学校と一緒に経験し、その手応えを次の事例にしていきます。残りの期間で、そこまでつなげていきたいと思っています。



参照・関連リンク

  • 学びのモデル(つかむ・活動する・ふり返る)は、阿部隆幸『ウェルビーイングな授業づくりのためのポジティブ心理学』(アルテ、2026年)などで述べています:書籍 | あべたか研究室


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