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学び多き日本協同教育学会第22回大会〜初めての参加!よかったよかった〜

2 分前
読了時間: 10分

会員ではあったけれど、大会は初めてだった

2026年9月11日(金)から13日(日)まで、大阪府大東市で開かれた日本協同教育学会第22回大会に参加してきました。大会テーマは「『自立と協同の文化』についてあらためて問う」です。プレ大会が大東市立南郷中学校、本大会が大東市立市民会館という3日間でした。


私は少し前からこの学会の会員ではあったのですが、研究大会への参加は今回が初めてです。一人での参加だったので、内向きで人見知りのする私は、少々ドキドキしながらの出発でした。


若い頃は、最新の教育技術や情報を知って、福島県の教室で自分のやりたいことを展開しようと大風呂敷を広げていました。月に一度くらいのペースで関東や仙台へ出かけ、誰も知らない場に無鉄砲に飛び込み、驚きながら消化し、教室で実践する、ということを繰り返していました。人見知りだったのは今と同じです。それでも出かけていました。今回の参加は、協同学習の今を知りたいという思いと同時に、あの頃の自分を少し懐かしく思い出させる旅にもなりました。


参加の目的は、協同学習の「今」を現場の口から聞くこと

今回の第一の目的は、協同学習のいま、普及の様子、トレンド、これから向かう方向を、研究大会という場でつかむことでした。


この学会は、口頭発表のほかにワークショップやラウンドテーブルが用意されていて、参加者は自由に選べます。私は、協同学習を研究している人、実践している人の口から、できるだけ多く聞くことに軸を置いて、ほぼ口頭発表に参加しました。


例外は、13日の第4セッションです。もともと口頭発表に行くつもりだったのですが、用意されていた4件のうち2件が発表取り消しになっていて、空白の時間が増えてしまいそうでした。そこで急遽、関田一彦先生(創価大学)のラウンドテーブル「協同教育における振り返りの意義を考える」に移りました。結果として、この選択はとてもよかったです。


いちばんの学びは、南郷中学校の公開授業だった

時系列でいうと大会の前、プレ大会にあたる9月11日の公開授業が、今回いちばん大きな学びでした。


協同教育学会の公開授業ですから、協同的な学びの授業が公開されていたわけです。同じ時間帯に3教室で、1年理科、2年音楽、3年数学が行われていました。まるごと1時間ずつ見ることはできず、行ったり来たりしながら覗く形になりました。それでも、どれもが、私が提案している「学びのモデル」にぴったり重なって見えました。


学びのモデルは、「つかむ」「活動する」「振り返る」という流れです。とくに最初の「つかむ」で、板書、当日または事前に配られている計画表やポートフォリオ、ワークシート、場合によってはルーブリックなど、このあとの学びの見通しが子どもたちと共有されて進んでいました。学年も教科も違う3つの授業が、同じ骨格で動いている。個人の力量というより、学校単位で考え方と進め方が共有されていることに、感動しました。


学びのモデルそのものは、協同学習をはじめとする学習者主体の授業の考え方や方法論を、一般化・汎用化したものです。合致して当たり前、と言えばそうなのかもしれません。それでも、それが目の前の教室で、しかも学校として行われていたことには、理屈を超えた実感がありました。


人が変わっても続く、大東市の18年

授業後の教育委員会からのお話や、12日の大会記念シンポジウム「大東市学校園の学び合う文化 -18年目のふりかえりとこれからの展望-」を聞いて、その背景がはっきりしました。


大東市では、2009年度から「学び合う学校園づくり」という教育ビジョンを掲げ、協同学習の理論を重視した教育を続けてきました。基本理念は「学び合い、学び続ける明日の市民の育成」です。人が変わっても、自治体の仕組みとして熱意が次の世代に渡され、協同的な学びが継続されている。理想ではあるけれど、なかなか目にしない話です。


きっかけは、当時の学校の荒れだったといいます。すぐに生徒指導や生活指導のほうへ目が向きがちなところを、学習状況や学びに向かう態度、子どもたちの学ぶ姿を変えていく方向に進みました。そこに、大東市のすごさがあるのだと思います。


私が見たのは、その18年後の姿です。3つの教室のどこでも、その日その時間の目標に向かって、子どもたちが協同しながら進んでいっています。すごいな、と素直に思いました。


口頭発表で引っかかったこと

本大会では口頭発表を中心に回りました。そのなかで、とくに残ったものを書いておきます。


看図アプローチ

大会1日目の口頭発表では、看図アプローチが複数回取り上げられていました。前から知っている技法ではあるのですが、自分の講座や、現場にいた頃に本格的に実践してきたわけではありません。手順や考え方もしっかりしているので、改めて取り入れてみたいと思いました。絵を見るというところにとどまらず、音声のほうへ話を広げてみるのもありなのではないか、と感じたところもあります。


朝の読書と生成AI

朝の読書と生成AIの活用、という発表もありました。この学会でも、生成AIの話はあちこちに出てきます。学校教育のなかで生成AIをどう取り入れていくかは、開発が落ち着くまで、学会に限らずテーマであり続ける気がします。


そのなかで「朝の読書」と「生成AI」に絞った話を聞くと、なるほど、と思いました。これまで一人ではなかなか踏み出せなかったところを、勇気づけてくれる存在としてAIが働く。そんな形には、未来を感じました。


昭和の自発協同学習

いちばん興味を持った口頭発表のひとつが、髙旗浩志先生(岡山大学)の「昭和20–50年代における自発協同学習の展開」で、起点として竹原市立賀茂川中学校が取り上げられていました。私が生まれた1965年の前後、子どもたちが自律的に学ぶ授業を、学級レベルではなく学校レベルで進めようとした人たちがいて、それが静かなる広がりを見せていた。感慨深く聞きました。


詳しく聞くと、いま民主化されていると思われている学校のなかでも、そこまで進んでいない、進めにくいような奥深い実践だったことがわかります。もっと知りたいと思いました。発表では主に2冊の本が紹介されていて、すぐ検索したのですが、古い本なので新品はなく、中古でも数万円を超えるものでした。大学の図書館にもなさそうなので、どうにかして一度読んでみたいと思っています。


ラーニング・ブリッジング

もうひとつ気になったのが、「ラーニング・ブリッジング」という言葉です。私には初めての語でした。学んだものを、別の場面でも使う。その架け橋において、対話や協同の意味が見えてきそうな気がしています。


自分ですぐ使うというより、まず研究の出所や意義を論文で確認してみたいです。授業を見ていくときのキーワードのひとつになりそうで、面白いものを見つけた気持ちでいます。


急遽参加したラウンドテーブルで、振り返りを深く考えた

関田先生のラウンドテーブルは、当日ピンチヒッターで安永悟先生(久留米大学)がトピックを語り、その都度近くの4人組で考えを交わす形でした。偶然でしかつながれない4人組になり、私にはない考え方や思いを聞くことができました。


協同学習と振り返り、というセットでの集中した話でした。私は学びのモデルのなかに「振り返る」を大切な要素として入れています。自分なりに語ることはできるのですが、他の人たちが振り返りをどう考えているかを、興味深く聞くことができました。口頭発表に行くつもりだった時間が、結果としてとてもよい時間になりました。


関田先生、杉江先生との時間

ここに行ったからこその出会いと再会も、書いておきたいです。


いちばん嬉しかったのは、久方ぶりに関田一彦先生にお目にかかれたことです。私を協同学習の世界に誘ってくれたのは、当時「授業づくりネットワーク」の代表だった上條晴夫先生(東北福祉大学)です。そこからのきっかけで、協同教育学会側でもっとも深く関わり、学び、尊敬しているのが、ダントツに関田先生です。


関田先生は、授業づくりネットワークの協同学習の学習会にも何度も足を運んでくださいました。私も、学会のベーシックやアドバンスを、関田先生がメイン講師のときに受講しています。「関田チルドレン」などと勝手に言ってはいけないと思いますが、考え方も、振る舞いも、人柄も、すごく好きです。ラウンドテーブルの4人組でも、関田先生の話にしばらく集中してしまい、嬉しくなりました。


もうひとり、ぜひお目にかかりたかったのが、中京大学名誉教授の杉江修治先生です。日本協同教育学会の代表を務められ、現場寄り、実践寄り、もう一歩踏み込んで現実寄りの協同学習の理論と実践を展開しておられる方です。日本の学校の状況を把握したうえで、特別ではなく日常の授業のなかに協同学習をどう入れていくか、を考えるときに、杉江先生の本はとても参考になります。現場の方が協同学習の第一歩を踏みたいときには、まず手にしてみるとよいのではないでしょうか。


情報交換会で勇気を絞ってお話しすることができました。関田先生もそうですが、本気で協同学習の中心にいらっしゃる方は、受容的で穏やかで、ユーモアがあり、話をしっかり受け止めてくださる。そのうえで、私のことを考えたフィードバックをくださる。豊かな時間でした。聞きたいことはたくさんあったはずなのに、その場ではなかなか思い出せませんでした。それでもいくつか質問すると、疑問を解消してくれる話を、エピソード付きでしてくださいました。


つながりが生まれる場に、自分から出たこと

ここではあえて名前を出しませんが、福島県出身であること、いま上越教育大学に所属していること、学級経営を一生懸命やっている人間だという認識で声をかけてくださった方々がいました。福島の話、学級経営の話、上越教育大学の話。そこに行かなければつながらなかった人たちです。


セミナーや学会では、よくあることだと思います。ただ、最近の私は、自分から外側に出歩くことが減っていました。だからこそドキドキして、すぐに帰ろうかな、と思ってしまう自分もいました。そこを踏みとどまり、若かった頃を思い出しながら情報交換会にも参加したことで、いろいろな方と知り合いになれました。協同学習のこと、あるいは学級経営と協同学習のつながりで、これから楽しいことができそうな感じもあります。参加したからこその、これから、です。


もうひとつ、裏の目的もありました。会場が大阪で、息子が1年半前から大阪で暮らしている。宿泊を息子の家にして、昼は学び、夜は息子と話す。そういう三日間でもありました。深く書く必要はないと思っていますが、夜だけの時間でも、貴重でした。


おわりに

いきり立って「やるぞ」と構えるのではなく、これが何かに結びつくことを楽しみにしておきたいです。きっかけがあったときに、見逃さずにちゃんとつかめる自分でありたい。今回の参加は、協同学習の今を知る旅であると同時に、若い頃の自分を思い出し、また外へ踏み出すきっかけにもなりました。


南郷中学校の教室で見た、学校単位の「学びのモデル」(と私は勝手に呼ばせてもらいます)。大東市の18年。口頭発表で引っかかった言葉たち。関田先生と杉江先生との時間。それらを、次につながるものにしていきたいと思っています。


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