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「授業づくりネットワーク2026春in東京」ふり返り

久方ぶりの「授業づくりネットワーク春集会」

2026年3月28日(土),神保町の出版クラブ4階にて,久しぶりの「授業づくりネットワーク集会」を開催した。 毎年,成蹊大学を会場に,200人規模の集会を開いていたことが懐かしい。 ただし,今はそういう時代ではない。それらの事情,そして,授業づくりネットワークが向かう方向性を石川晋(授業づくりネットワーク理事長)が開式の言葉で語ってくれた。


今回は,自分が事務局側ではなく,講師(話題提供)としての参加だったが,今,私が私であることを形作ってくれた「授業づくりネットワーク」という組織の会合に今でもかかわらせてもらえることに感謝したい。と同時に,私のような年配者が,今でも「教育界の半歩先」を歩むことを信条にしている(と私が勝手に解釈している)「授業づくりネットワーク」の集会にかかわらせてもらうことに迷惑をかけていないか,いろいろと考えることがある。


今回の「授業づくりネットワーク集会」は特徴があって,全国各地で同日開催ということ。 私に関係するところでは,勤務する上越教育大学での開催,そして,自分の実家がある二本松市での開催(福島県開催)。結果,私が参加したのは,東京集会だった。それは,早いうちから,東京集会の事務局の方々に声をかけられたことをはじめとして,テーマが「ウェルビーイング」だったからである。 現在の私は,本気で「ウェルビーイング」と「学級経営」に全力を投球している(つもりである)。 2024年12月に,「ウェルビーイングな学級経営のためのポジティブ心理学(アルテ)」という本も出版した。 しかし,私の力不足か,知名度のなさか,文字がたくさん並んでいることが避けられたのか,もっと直接的な実践に結びつく説明が良いのか,ポジティブ心理学という響きに近づいてよいのかどうか不安を持たせてしまったのか,自分が期待したほどの反響を得られなかった。 とはいいつつも,別に,流行という形で書いたわけではなく,私の中の「学級経営」実践と研究をまとめた書籍だったので,1年経ったからといって古くなるはずもなく,少しでも「ウェルビーイング」「学級経営」「ポジティブ心理学」に興味関心を持つ人であれば,手に取っていただきたいと思っている。私にどれだけの信頼度,信用度があるか不明だが,現場の人にも役立つと思っているのだが……。


私は私なりに「ウェルビーイングと学級づくり」に関する話を展開させてもらいました

さて,今回私は,30分の時間をいただいた。 「授業づくりネットワーク」の最新刊,「多様性を包摂する これからの授業とクラス(授業づくりネットワークNo.53)」において,巻頭言「ウェルビーイングな学級はいかに可能か」を書かせていただいた。それは,まさしく,「ウェルビーイングな学級経営のためのポジティブ心理学(アルテ)」のダイジェスト的な扱いである。


様々な面から述べたいのだが,特に主張したいのは,「ウェルビーイングを学ぶ」ではなく「ウェルビーイングで学ぶ」である。つまりは,ウェルビーイングな内容を学んでウェルビーイングになるのではなく,ウェルビーイングなシステムや仕組みで学ぶことでウェルビーイングな状態になっていくということである。 特に,学校教育という制度の上では,学びのシステムや生活のシステムが「ウェルビーイングな仕組みになっているか」ということがとても大切に思う。これを,今回,わざわざ,会場に来てくださった30名の方々に訴えることができたか,ここがポイントになろう。


それぞれの発表者の内容がとても濃かった

私以外の皆様の発表は,とても興味深いものだった。 どれもが,現場からの切実な声とつながっており,今後もウェルビーイングをベースに諸々のことを考えていきたいと思っている私にとって,参考になるものだった。


そういう意味では,どのように与えられた時間を過ごすか(進めるか)というところに興味がある。 その意味では,全員がそれぞれの特徴を活かし,参加者に訴えていたと思う。


佐内先生の,いわば本日の道筋をつける「論点整理」をしてくださった。今回の事務局である田中博司先生に,ぜひとも佐内先生にこの役割とお願いするとよいと勧めたのが私である。この季節,大変忙しいことを知っている中で,このようなお願いをしてしまい申し訳なかったが,想像を超える「ウェルビーイング」に関する書籍の整理整頓をしてくださっていた。本当にすごい。3月1か月の短い期間の中に,「中央教育審議会教育振興基本計画部会」の会議のやり取り全てに目を通し,教育に関するウェルビーイング34冊を読みこなし,それをもとに整理整頓してくる佐内さんは,佐内さんだからこそのウェルビーイングの現状を参加者の方々に情報を提供し,本日の道筋をしっかりと付けてくれたように思う。感服だ。


山田先生は,ウェルビーイングという包括的な考え方に対して,前野先生をふくめたエビデンスをもとに,ダイナミックな教室実践を進めていた。さすが,ウェルビーイングに対しての先行実践者であり,普及実践者である。提供する情報,内容,エピソードが自身の教室と結びついて,具体的である。理論をもとに教室での実践を展開されているので,対話も,質疑応答も,筋が通っており,かつ,具体性と理論が紐づいて語られすその様子は,会場のみなさんへの説得力が圧倒的であった。


筒井明以先生は,なかなか展開しにくい,教師間でのウェルビーイングを具体的な写真とその時々のエピソードを加えて,説得力ある説明をしてくださった。


小島貴之先生は,さすがに阿部ゼミ出身ということもあり,もともと,そういう部分に興味関心が合ったのだと思うが,アクティビティを随所にと入りれて,それが,どなたものめり込むようなしくみで「アクティビティ→エピソード→納得→各自への投げかけ」というような構図で構成されており,実体験を感じつつ,「だからどうするか?」という絶妙な構成で組まれていた。


濱口恵美先生は,自身の痛いエピソードから,飛び上がるエピソードまで,あますことなく,参加者に提供し,参加者も当事者感覚で考えるような構成にしてあった。


小川真由美先生は,自信のキャラクターなのか,特性なのか,ポジティブな感覚を生かした,生々しい状況を伝えてくださった。私自身,日本学級雨経営学会で多少の交流はあったが,こうして彼女のフィールドで話題を共有することは初めてであり,彼女の専門性の素晴らしさを感じた。今後,私自身,悩んだり,どうしていいかわからなくなったときには,彼女に頼るというか,聞いてみたいと思う。


田中博司先生は,これら全体を包括して,鳥の目,蛙の目,有りの目,等々でこの会の進行を見つめて,しっかりとホールドしてくださっていた。


たぶん,本日,この会に参加された方々の多くは,それぞれがそれぞれの思った通りで生活していっていいのだというケアの空気感の中で,過ごすことができたのではないかと予想する。 それぞれの主体は,学び手である参加者にあるのだ。 どのように学び,どのように展開するのか,学び手の感覚にかかっている。


私は,セミナーや講座を提供する内容に合わせた活動を取り入れながら一方的に話を聞くだけではなく,体験的に活動的に学んでもらうように工夫している。そういう意味では,小島貴之先生の30分の進め方が,とても参考になった。勝手に想像すると,小島先生は「阿部ゼミ」の出身者であり,私がそういう方向を志向していることをすでに知っており,小島先生も自身が発表者になる機会があるときは自然にそれを意識したつくりにしているのではないか。とにかく,私が展開したいような流れで自身の時間を存分に活用していた。すばらしい。活動の場面がいくつかあったが,参加者が思わず自身を乗り出したくなるような「問い」を発し,それをもとに話し合いを促したうえで,自身の状態や考え方を示すという流れは,圧巻だった。願わくば,自身の状態に加えて,学術的な根拠としてはこのようになっているというような示し方ができればベストだったと思うが,それは私が勝手に私の好みへ引っ張ろうとしすぎるだけかもしれない。現場で必死に過ごしている彼にとって,この状態そのものを分析し,参加者に説得力あるエピソードを加えて共有するということだけでも,とても貴重な時間を提供してくれたのだと思う。兎にも角にも,体験に加えて,実感をともなうという形での講座の進め方は,わたし自身,とても参考になる。


3月から4月への切り替えの次期,現場の方々は必死なのだろうが,私自身は,ちょっとボウッとした状態である(すみません)。そんな中,現場の方々のリアルな状態を教えてもらって,私自身,大変刺激になったし,来年度に向けてのエネルギーを貰った気持ちでいる。


久しぶりの佐内さんとのおしゃべり

何より,うれしかったのは,集会,そして,懇親会を含め,久しぶりに佐内信之先生とじっくりとお話をする時間を持つことができたことである。佐内先生とは,私がこうして,学校外と関わるきっかけを与えてくださった「授業づくりネットワーク」との橋渡しを含め,「日本学級経営学会」の理事として,大変お世話になっている。いわば,胸襟を開いて何でも話せる数少ない仲間の一人である。とはいっても,ここ数年,Zoomなどの画面越しに話をするだけですごしてきてしまっていた。そんな中,本日は,本当に久しぶりに,様々な情報を交換する時間を持つことができた。うれしかったぁ。自分で言うのも,本音を交えて話せる友達が少ない私である。その中でも,数少ない友人である佐内さん。なんだか,この時間を本日,持つことができたというだけでも幸せを感じた。


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今後も,情報交換等を通して,前に進んでいきたいと思うきっかけをもつことができた。 今回,こうした機会を与えてくださった「授業づくりネットワーク2026春in東京」の事務局の方々に感謝したい。


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