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修了しても学校現場にて研究し続ける姿勢に拍手!現場にいるからこそできる研究ですね〜前田考司さん「子どもの“心の声”を聴き取る学級経営──「振り返りジャーナル」185日間の挑戦」


2025年3月21日に日本学級経営学会の学会誌第7巻が発刊されました。その中に,阿部ゼミの修了生で,現在新潟県の公立小学校教員の前田考司さんの論文が掲載されています。

学会のHPだけでなく,Jstageでも公開されています。

今回は,この論文を取り上げて紹介します。

【参照】


タイトルは、 「児童の振り返り記述の変容に関する事例的研究 ―小学3年生『振り返りジャーナル』185日間の実践を通して―」

この論文、はっきり言って、現場の教師でなければ成し得なかった実践です。

なぜか?

それは、185日分の「子どもの振り返り」の文章を毎日丁寧に読み取り、その“変化”と“育ち”を見逃さずにすくい上げていくという、まさに「こだわり」と「根気」と「まなざし」の結晶のような研究だからです。


毎日のふりかえりに、子どもたちの「心のゆれ」が映し出される

論文の中では、児童の記述を「行動」「思考」「感情」「望み」という4つの視点で分類し、記述の変化を数量的かつ質的に分析しています。

ここから見えてきたのは、

  • はじめは「行動」が中心だった子どもたちの記述が、

  • 次第に「思考」や「感情」、「こうしたい」という「望み」へと変化していく

という“内面の発達”の足跡でした。

このような「変容」は、テストでは測れません。通知表にも書ききれない。

でも、教師のまなざしの中には、確かにその変化が映る。


「変化」を読み取る眼差し、そこにあるこだわり

この研究のすごさは、単にデータがあることではありません。

「文章のひとつひとつを読み取り、分類し、そこに表れた変容を丁寧にたどっている」点にあります。

これはもう、私が日頃口にしている「感覚で進める学級経営から脱しよう」「理論と現場の両輪で進めるべき」という姿勢と重なります。


「学びの根っこ」は、子どもたちのふりかえりの中にある

「振り返る」という営みを毎日続けることで、子どもたちは自分の行動を見つめ、そこから気づき、そして次に活かそうとする力を育てていく。

これは、私が意識している「メタ認知」や「自己調整学習」の姿に重なります。

そしてなにより、「記述量」が増えることで、「学校適応感」との正の相関が見えてきたという点は、子どもの内面の変化が“学校での居心地”にもつながっているという重要な示唆を与えてくれます。


教師の“こだわり”が、子どもの“未来”をつくる

185日分の振り返りに毎日向き合うことは、正直言って簡単ではありません。というか,日頃,やることなすことがたくさんある先生たちにとって非常に難しいことでしょう。

でも、その「こだわり」があったからこそ、子どもたちの心の変容が見えた。気づいた。育まれた。

このブログで何度か繰り返している、「子どもを信じる」ことと、「変化に気づける教師であること」が、学級経営のといえるかなと思います。

そんな熱い実践と、そこから生まれた確かな知見に、心から敬意を表したいと思います。


もしあなたが「ふりかえりって本当に意味あるの?」と感じたことがあるなら、ぜひこの研究を読んでみてください。「学び」は、感覚やパッと見ではわからない──そう気づかせてくれるはずです。

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