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第36回学級経営実践セミナー(新潟)終了!〜「個人商店」から「組織で支える学級経営」へ

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2025年8月30日、昨年に続き2度目の「学級経営実践セミナーin新潟」に参加してきました。私自身、日々の実践の中で感じている課題意識と共鳴する、非常に示唆に富んだ時間となりました。今回のセミナーを一言で総括するならば、「学級経営の個人商店化からの脱却」への強い意志を感じた、そんな一日でした。

登壇された上條正太郎さん、川崎智也さん、土田侑人さん、そして岡田順子さんの素晴らしいご発表と鼎談を私なりに振り返ってみます。


■基調提案:なぜ学級経営は語りにくいのか? ―上條正太郎さんが示した「共通言語」


まず、上條さんの基調提案が、この日の学びの土台を見事に築いてくれました。上條さんは「学級経営には明確な定義がないため、語り合いにくい」 という、誰もが一度は感じたことのある問題を再確認するところから始めました。「学級経営」という言葉が内包する範囲は広く、それぞれの教師が持つ経験や信念によってその捉え方は千差万別です。

そんな中,上條さんは文部科学省の解説を基に3つの視点を提示しました。

  • 学級集団としての質の高まり

  • 教師と児童の信頼関係づくり

  • 児童相互の人間関係づくり


この3つの枠組みは、多様な学級経営実践を整理し、対話するための「共通言語」になり得ると感じました。この共通の物差しがあるからこそ、個々の実践が点在するのではなく、組織としての知見として繋がり、共有(シェア)されていくように思います。組織的な学級経営への第一歩です。


■実践報告①:データと計画で組織を動かす ―川崎智也さんの挑戦

若手教員の学級が安定しないという課題に対し、川崎さんはQUを活用します。素晴らしいのは担任の主観や見取りだけでなく、客観的な資料を基に「複数の目」で子どもや学級の状態を協議する体制を築いたことです。

QU活用が「対症療法的」に感じた川崎さんの次の一手が、年間の学校生活サイクルと集団の発達段階を関連付けた「温かい学級づくりプラン」です。

これは、これまで個々の担任の裁量に任されがちだった学級づくりを、「どの学級でも同じように実施できる教育活動の土台」として位置づけ直す画期的な取り組みです。


■実践報告②:マインドとカルチャーで組織を育む ―土田侑人さんの仕掛け

川崎さんの実践が「システム」からのアプローチだとすれば、土田さんの実践は教職員の「マインド」を揃え、主体的な「カルチャー(組織文化)」を育むアプローチと言えます。

研究主任として「研究活動に疲弊する職員室」という課題意識から出発し、「つながりが幸福度を高める」というデータや生徒指導提要を基に、「共感的な人間関係の育成」を研修テーマに設定していくプロセスはさすがだと思いました。

土田さんが仕掛けた多彩な取り組みには、職員室の風通しを良くし、ポジティブな文化を醸成するためのヒントが満載でした。


■鼎談から深まった学び:「シンパシー」から「エンパシー」へ

岡田さんの巧みな進行による鼎談では、両実践者の思想がさらに浮き彫りになりました。特に、夏休み明けのリスタートについて、土田さんの「三歩下がってて当然というマインドで、できているところを褒める」という視点や、川崎さんの「学級のルールをもう一度見直す学級活動」という具体策は、すぐにでも現場で活かせる貴重な知見です。

鼎談上で遡上に上がった言葉(用語)がシンパシー(同感)」と「エンパシー(共感)」の視点です。多様性がますます重要になる社会を生きる子どもたちにとって、不可欠な力です。このエンパシーを育む視点を、日々の授業や声かけの中にどう位置づけていくか、今後の課題だと感じました。



■新潟という独自の立ち位置を超えて

新潟は,上越教育大学がある場所です。そして,教職大学院といえば新潟大学もあります。そう言う意味では,大学での開催も「あり」だと思いますが,そういう形にするのではなく,新潟県内の学級経営実践や研究に興味を持った方々へ向けて開催していることがこのセミナーの特徴かなと思いました。もちろん,上越教育大学や新潟大学が近くにありますから,そこで学んだ方々,もしくは学んでいる最中の方々も参加者としてはいらっしゃいます(ありがたいことです)。しかし,大学構内のゼミや授業ではなく,とはいっても新潟県内の自治体主催の講座や講演でもなく,所属する勤務先の校内研修でもない,自ら参加するセミナーという位置づけは新潟県内では,なかなかに珍しいものではないでしょうか。

そんな中,このセミナーを企画し,運営してくださった皆様,そして,そのセミナーに参加してくださった皆様に敬意を表したいと思います。

今回,特に若いものの参加が目立ちました。「学級経営」ですから,教室に携わる方々に企画運営している方々の声が届いているとしたらとてもうれしいですね。


付け足しとして,私は「学級経営の見方・考え方」という題目でお話させてもらいました。5分ほど時間がオーバーしてしまったので,それだけで大きな反省です。

内容に関しては,多くの方にとって当たり前な部分から,そうなのかぁという珍しい部分へと3つの視点を投げかけて,皆様に考えてもらうような進め方を取りました。

もっともっと,私の主観に引き寄せれば,めちゃくちゃな言いたいことはありますが,それはそれで,混乱させるだけですので,この日の懇親会で一部の方に語ったことだけにとどめておきました。

こうして,表の話も裏の話もできるのが,「懇親会」付きのイベントは楽しいところですね。


今後も,新潟でのセミナーは続くのでしょうか。

どのように発展していくのか,楽しみに見守りたいし,応援したいと思っています。



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