Cursor,Obsidianで,材料を自分好みのMarpスライドにする環境を整えた
- あべたか
- 1 日前
- 読了時間: 7分

スライドには,私にとって2つの役割がある
1つは,セミナーや研修など外部向けに使うスライドです。私の場合は一方的な説明よりも,その場で考えてもらったり活動してもらったりすることが多く,あらかじめ決まった内容をそのまま文字にすればよいというものではありません。過去スライドを分割・統合・整理しつつ,促しやクイズ・ゲーム的な要素をその都度足していく形になるので,AIに一括で作らせるのは難しく,今後も手をかけていくつもりです。
もう1つは,長い文章や資料を,スライド形式にすることで端的に理解しやすくする使い方です。ゼミで長文を噛み砕いて話すときや,文科省の資料・論文・報道のデータなどを,自分用や少人数用に「パッとスライド化」できたら楽だな,というニーズです。ここは,材料さえ渡せば形にしてもらえると助かります。
編集のしやすさがほしかった:まじん式と生成AIの現在地
2025年夏前後から「まじん式スライド」が話題になりました。まじんさんが,GeminiとGoogle Apps Script(GAS)を組み合わせて,資料・PDF・長文などをGeminiに渡すとGoogleスライドにまとめてくれる仕組みを公開してくださったものです。私もすぐに取り入れ,バージョンアップのたびにお世話になっています。複雑で読みづらい文章が,するすると整ったGoogleスライドになるのは,本当にありがたいです。
Googleスライドの利点の1つは,編集がしやすいことです。ChatGPTやGeminiでスライドを生成することは以前から可能でしたし,その後はCANVAS機能の本格化や,NotebookLMのスライド機能の評判も聞きます。ただ,それらが吐き出すのは現状,基本的にPDFが多く,編集するには別の一手間がかかります。AIの出力をそのまま100%で使うことはほとんどないので,編集のしやすさは重要です。NotebookLMのPDFスライドを編集可能な形にしてくれるサービスも出てきているようですが,有料のようです。
そんな状況を頭の片隅に置きながら,昨年末からObsidianに夢中になり,Obsidian×生成AIということでCursorも使い始め,「自分専用のやり方」を探していました。
Markdownでスライドが作れるMarpと,Obsidian・Cursorの相性
Obsidianを使ううちに,Markdownの扱いに慣れてきます。私自身,アウトラインプロセッサに興味を持っていた頃から見出しや箇条書きなどの簡単な記法は知っていましたが,Markdownでスライドがつくれることは最近になって知り,驚いたばかりです。自分にとって有用かどうかはさておき「初めて知ったらとりあえず触ってみる」性分で,すぐに手を動かしました。
Markdownファイルとしてスライドを管理することには,次のような利点があると考えています。
Obsidianの保管庫にそのまま置ける:他のノート(Markdown)と同じ場所で管理できる。逆に,既存のメモを少し手直ししてスライドにすることもできる。
AIエディタのCursorを挟める:外部のPDF(論文や教育関係の資料など)を渡して,要約・編集してもらいながらスライドにしてもらう,という使い方ができる。
修正が楽:Markdownの該当箇所を直すだけで,スライド表示がすぐに更新される。KeynoteやPowerPointのように,装飾やアニメーションに凝ることはできませんが,私はもともとシンプルな見せ方でよいと考えているので,Marpで表現できる程度の装飾で十分です。
Cursorとの相性:「ここを大きく」「画像を上に」など,マークダウンの該当部分を指定して指示できる。既存のPowerPoint・Keynoteでは伝えにくい細かい修正も,AIエディタならやりやすいです。
加えて,もともと自分用のプレゼンテーションテンプレートを20種類ほど持っており,それらを「Cursorに渡すときのテンプレートのテンプレート」としてうまく使えるのではないか,と考えていました。
やったこと:プラグイン導入から自分用Marpテンプレートまで
第一に,Marp用のプラグインを入れた
Obsidian:コミュニティプラグイン「Marp Slides」を導入した。Markdownで書いた内容を,ボタン操作でスライド表示できる。
Cursor:拡張機能「Marp for VS Code」を導入した。
これで,ObsidianでもCursorでも,Markdownの記述をスライド形式でプレビュー・表示できるようになりました。
第二に,Cursorで簡単なスライドを作ってみた
CursorとObsidianの保管庫(Vault)は同一にしています。Cursorに「私のプロフィールを,いろいろなレイアウトで5枚程度のスライドにして」とだけ頼み,保管庫内の自分の情報を参照してもらいました。テンプレートや具体的なレイアウト指示はしていません。表紙と箇条書き中心の自己紹介スライドを,問題なく作ってもらえました。
第三に,既存のプレゼンテンプレートをMarp用に変換してもらった
自分が普段使っているプレゼンテンプレート(約20パターン)をPDFでCursorに読み込ませ,「できるだけ忠実にMarp用のテンプレートにしてほしい。用途は,後から情報を渡して,ふさわしいテンプレートを選んで1本のスライドにしてもらうこと」と伝えました。
数分でテンプレート化してくれました。ただし,PDFだけでは色や文字サイズが正確にわからないとのことだったので,今度は同じテンプレートをJPEG画像にし,色・フォントの種類・サイズなどを参考にしてほしいと依頼しました。すると,いつも使っている水色〜緑系の背景なども含め,かなり忠実に再現してくれました。
第四に,全パターンの見た目を確認して微調整した
20パターンすべてについて,「サンプルの文章やイラストでよいので,全部出力して」とお願いし,再現度を確認しました。おおむね8〜9割は忠実で,Marpという形式を考えると複雑なレイアウトでもここまでできるのかと驚きました。色味のずれや解釈の違いがあった箇所は,「ここはこうしてほしい」と該当部分を選択して指示し,Cursorに直してもらいました。この「該当箇所を選んで指示する」作業は,AIエディタならではで,チャット型の生成AIでは手間がかかると感じました。
そして今
すでにいくつかのPDF資料を読み込ませ,スライド化してもらっています。要約・編集・レイアウトの能力を組み合わせて,見やすい形にまとめてもらえて助かっています。作成したスライドは,Obsidian上で全画面表示できるほか,PDF・画像ファイル・PowerPoint形式でもエクスポートできます。ブログ用に,例えば「上越は他地域と比べて雪の日が多いか」を調べてもらいスライドにした例では,左にMarkdownのソース,右にMarpのプレビューという一覧表示で確認できる形になりました。
おわりに:作業時間はコンテンツと対話に振りたい
仕事上,スライドを作る機会は多いのですが,「スライド作成そのもの」にどれだけ時間をかけるべきかは,ときどき考えます。スライド作成に職人気質で取り組まれる方の価値観を否定するつもりはありません。また,私を知っている人はわかるかと思いますが,派手な装飾はしないようにしてきた私ですが,その中でも,私なりのこだわりをもってスライドを作成してきたことはわかるかと思います(プレゼンテーション「禅」が私の目指すところでした)。ちゃんと,シンプルでいて,相手にしっかり伝わるようにしたいというところが私の向かうところです。その上で,レイアウトや装飾よりも,趣向や考え,そしてスライドを介した対話やコミュニケーションに時間を取りたいと思っています。だからこそ,形づくりはAIに任せつつ,「私だからこそ」の部分(テンプレートの好みや,どこを強調するかなど)は自分でこだわっていく方針です。これはスライドに限らず,AIが生活に入り込んでいくなかで,「その都度,自分らしさをどう残すか」というテーマにもつながりそうなので,機会があればまた別の記事で書いてみたいと思います。
今回のまとめは,時間があった日に,Marpを触りながら,Obsidian×Cursorで「材料を渡せば自分好みのMarpスライドができる」環境を整えられた,という話でした。
参照・関連リンク
Marp(Markdown Presentation Ecosystem):Markdownでスライドを作成するオープンソースのツール。Marp - Markdown Presentation Ecosystem
Marp for VS Code:VS Code(およびCursor)用のMarp拡張機能。Visual Studio Code+Markdownでキレイなプレゼンスライドを手軽に作成できる「Marp」 | 窓の杜
まじん式スライド(まじん式プロンプト):GeminiとGASでGoogleスライドを自動生成する仕組み。現在はv4が公開されており,無料版は拡散協力により0円で入手可能(2025年11月リリース)。SVGグラフや動画フレーム抽出などに対応。