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執筆者の写真あべたか

あなたは「創出(アウトプット)」や「思考を深めること」を意識したメモを日常的に取ろうとしているか〜ツエッテルカステン(Zettelkasten)とScrapboxのススメ


みなさんは,たぶん,アナログ,デジタルに関わらず日常的にメモを取っていることと思いますが,どのようなメモのとり方をしていますか?もう少し,詳しくいえば,メモをどのように整理整頓していますか?

もしかしたら,思いついたものをメモ帳その他に書きなぐるだけという方がいらっしゃるかもしれません。まずは,頭で考えるだけでなく紙や画面に記録することが大切だという感じですね。


その書き出した内容を,後で活用できるようにと考えた場合,キーワードやテーマをもとにするか,それとも日付をもとにするかでまとめる方が多いですかね。このように保存すると,キーワードやテーマ,または日付を頂点とした階層管理になりますよね。この場合,事前に活用することが明確な場合,整理されて閲覧,参照できるかもしれませんが,そうじゃない場合,もしくは,そのキーワードやテーマの活用が終わってしまった場合,階層の下で管理されているメモ内容が死蔵してしまう可能性がお大きいです。


そこで,おすすめしたいのがツエッテルカステン(Zettelkasten)というメモのとり方です。

そして,このツエッテルカステン(Zettelkasten)をすすめていくのにとても相性の良いサービスがScrapboxです。


以前からScrapbox推しの私は,機会あるたびにScrapboxを紹介してきました。

で,その時,わたしが紹介する常として,「第二の脳をネット上に作る」とか「脳のシナプスを増やしていくイメージ」みたいな感じですね。


今回,もっと,ちゃんと,具体的に実態を伴ったわたしの頭の中のイメージを紹介することができます。

それが,ツエッテルカステン。


上の画像で紹介している本で,ツエッテルカステンを詳しく知ることが出来ます。


また,ツエッテルカステンの雰囲気を知るだけでしたら,下のネット記事から想像できます。


そうそう。これこれ。

ツエッテルカステンを世に出したNiklas Luhmann(ニクラス・ルーマン)さんは,アナログでこれをやっていたようですが,それはそれですごいですね。ただ,思考の再構成とか,文章を執筆していくときに,メモからメモをアナログで(つまり,物理的に)たどっていく行程はわくわくするだろうなぁとも思います。


基本,一事象一メモで残して,それらを一定のルールに基づいたリンクでつないでおくわけです。

「リンク」といえば,得意なのはインターネット。

リンクを簡単に自由自在に張れるサービスを用いることで,容易にツエッテルカステンを構築できます。

だから,使用するサービスはScrapboxである必要はありません。わたしが紹介している本書「TAKE NOTES!」では,ObsidianやRoam Researchを紹介しています。

実際,Obsidianは年月日との紐付けがわかりやすいらしく,盛り上がりつつあるなぁと見ています。わたしも,Scrapboxを使っていなかったら手を出して見るかもしれません。しかし,すでに私的Scrapbox上に5368個のメモを構築しているわたしとしては,もはやScrapboxから離れられない体(いえ,思考)になっています。


ツエッテルカステンでメモを構築していくことで,何かを行う際,「新たに情報を取得する」とか「情報を整理し直す」ということを必要としなくなります。基本,すでにツエッテルカステンで構築している一つの情報にアクセスすれば,スルスルスル〜と自分の脳内に収まっていた情報を引き出すことができるということです。


本書で以下のように説明します。

カリフォルニア大学のロバート・ビョークとエリザベス・ライゴン・ビョーク夫妻は、記憶の中でも、「保存強度」と「想起強度」を区別し、特に想起強度が大切だということを提唱しています。

「保存強度」とは記憶を持続させる能力であり,「想起強度」とは情報を思い出す速さのことです。続けて以下のように続けます。

学習とはハードディスクに情報を保存するような行為ではなく、情報と情報のあいだにつながりをつくり、橋渡しをして、記憶を阻害することを避ける行為です。適切な「手がかり」によって最も有用な情報を、必要なタイミングで思い出すことができるように戦略的に考える行為です。 現代の教育の状況、特にほとんどの人が採用している学習戦略を見ると、大半の学習がいまだに「保存強度」を向上させることを目標としています。つまり、独立した事実を覚えることが重視され、つながりを構築することはあまり重視されません。 しかし保存強度は向上させようがありません。それにもかかわらず、情報を無理やり脳に定着させようとするやりかたは、学習心理学者に「詰め込み」という不名誉な名前で呼ばれています。

そこで大切になってくるのは「想起強度」であり,「想起記憶」です。

代わりに「想起強度」に注目すれば、記憶を思い出す手がかりになる情報を意識することができるようになります。 単独で「手がかり」としてインプットする情報はそもそもありえません。あらゆる情報が、別の情報を呼び出すためのきっかけになりえます。

この「思い出すきっかけ」に大いに関わるのがツエッテルカステンです。


ツエッテルカステンでメモを構築するということは,未来志向とも言えます。(もちろん,現在志向もできますけど)

新たな興味関心,課題が生じて情報を集めて,メモを構築していくと言うよりは(くどいですが,それもできますが),日常的に書籍情報やメディア情報,自分の頭の中をアウトプット……しておくと,ある時,目の前に生じた興味関心,課題が蓄積されたツエッテルカステンのメモと結びつけて思考回路が構築されるということです。

いい感じですよね。


実際,わたしはこの前の土曜日(2023/02/18)は,1日中,研究室にこもってある雑誌原稿の執筆をしていたのですが,以下のような感じで執筆しました。

  • Scrapboxを開く。

  • テーマに関係するキーワードでいくつかScrapbox内を検索する。

  • そこでヒットするメモからリンクをたどる。

  • リンクからリンクをたどっていく中で,自分の頭の中に文章の流れをつくったり,リンク間の関係性を埋めるところで新たな考えを創出したりしながら原稿文章を作成していく。

わたしは,本書「TAKE NOTES!」を読まずに,自分の頭の中の網の目を頭から吐き出し,ネット上に構築しておきたいという思いから,自分なりのルールでメモとメモのリンク構造を作成してきました。

そんな中,本書「TAKE NOTES!」を読んで,なるほどなぁと思ったことがいくつかあります。

それは,メモとメモのリンク構造を作っていく際,単なる情報と情報の蓄積やリンクを作成していくだけでなく,そこに少しでもいいから「自分の考え」を書き込んだ上で作成していくことということです。こうすることで,先ほど紹介した「想起強度」がより強化されるとうことでした。

なるほどと思いました。

ここに関しては,わたしは若干の面倒くささがあったので,意識しなかったところがあります。少し意識していきます。

つまりは,何でも「自動化」してしまうと,わたしの脳に刺激を与えないまま,蓄積されてしまうので,蓄積場所に単なるモノやゴミとして蓄積されてしまうことがあるということでしょう。


これらを含め,今後もScrapboxを有効に使いながら,思考の旅を楽しみたいと思います。

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