田中博司先生が本学(上越教育大学)の階段教室に降臨!
180人を超える学部1年生中心の科目「教育課程実践論」にて,田中博司先生に授業をしていただきました。
アクティブ・ラーニングが推し進められて久しいわけですけど,大人数階段教室という「環境」においては,アクティブ・ラーニングは非常に展開しにくいです。
そんな中,数多くの「教育におけるユニバーサルデザイン」に触れたり,関わったり,学んだり,提案してきたりしてきた田中先生が,現時点でのご自分の考えを整理して,教育に関して専門的に学び始めたばかりの学生たちにズドーンとわかりやすく,かつ,核心を突くお話をしていただきました。こういう環境でも,活動を取り入れて学生たちに身をもって感じてもらおう,考えてもらおうとする授業プロセスはさすがと思いました。
改めて感じたのですけど,田中先生は声がすてきです。
そして,リズムとテンポが落ち着いていて,話す内容がすうーっと頭の中に入ってきます。
授業が終わる時,自然に学生たちから拍手が沸き起こったのが印象的でした。
わたしにとっても大きな気付き……「指導」と「学び」
もし,過去のわたしの文章をそれなりに読んできていた方はご存知かと思います。
わたし,あまり教育において「ユニバーサルデザイン」という言葉を使いません。
簡単に言えば,少し距離をおいてきたからです。
「ユニバーサルデザイン」を説明するなら,一般に「すべての人のためのデザイン」「みんなにやさしいデザイン」のようになるかと思います。一体,教育においてそれが果たせるのでしょうか?ともすると,このようなきれいな言葉を用いて,実際は全員に,なにか「一律のものを強要する」ようになるのではないかな?と感じてしまっていたからです。
実際に,「そろえる指導」になっているという批判はあるようです。
しかし,田中さんの授業,そして,その前後の2人だけの「おしゃべり」にて,わたしの疑問は氷解しました。簡単に言えば,「ユニバーサルデザイン」という名称に関わって,様々な立場,考えの人がいるということです。
そして,その考えは,わたしが自分で進める講演講座の中で,ほぼ必ず用いる「人口動態」を説明する流れに重ねる形で,わたしの頭の中で整理することができました。
わたしは「人口動態」を用いて何を説明しているのか,細かいプロセスを若干すっ飛ばして説明しますと,「指導」なのか「学び」なのかということを説明するのに使っています。そして,今は「学び」の時代であり,世の中,学校教育,学級経営,授業運営……と「学び」のマインドセットに変えていかなければならないという流れとして用います。
この考えをユニバーサルデザイン(以後,UD)に当てはめると,UDにも「指導のUD」と「学びのUD」があるということに気づきました(というか,田中博司先生の言葉から気づきました)。そして,それは主語が「教師」か「学び手」なのかということにもつながります。
(長い間,UDを研究,実践してきた方にとっては当たり前のことなのかもしれませんが)このことが自分自身の頭の中で,説明できるようになった時,目の前の霧が晴れたような気分でした。
それもこれも,田中先生と対話をずっとずっと3日間も重ねた結果です。ありがとうございます。
数少ないUDに関する知識の中で,わたしの頭に親和性の高いUDといえば,UDLです。
UDLは,「Universal Design for Learning」の頭文字を取ったものであり,日本語では「学びのユニバーサルデザイン」と翻訳されます。
なぜ,数々ある教育に関するUDの中で,わたしがUDLに興味関心を持っているのでしょう。それは,UDLは上のわたしのきづきに寄せれば,「学びのUD」だからなのですね。考えてみれば,「for Learning」であり「学びの」という言葉が最初から入っているのにもかかわらず,そこに目が向いていませんでした。
尽きない話題
そんなこんなで,田中博司先生は上越での一切を終えて,夕方の新幹線でご自宅へ帰宅されました。
「まるで何年間も会うことができなかった遠距離恋愛をしていた恋人のように」(ちと大げさか……笑),どんどん話が湧いてきました。おもしろかったですねぇ……。
わたしはテレビドラマ「いちばんすきな花」に出てくる登場人物のように,2人きりが苦手です。基本一人の時間を好みますし,もし,誰かと一緒にいるのであれば,グループや大人数の中に紛れ,何にも話さなくてニヤニヤしていれば時が過ぎるという体制にして過ごします(また,逆に大はしゃぎしてその場をやりすごすというときもあります)。
【参照】いちばんすきな花-フジテレビ
何度も紹介してくどいですな(苦笑)。だって,好きなんだもん!
一方で,「2人きりで尽きない話をしつづけられる友達」にずっとずっと(たぶん小学校時代から)憧れ続けている自分がいます。田中博司さんはそんなわたしにとって数少ない友人の一人。3日間,お付き合いいただきありがとうございました。
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