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執筆者の写真あべたか

日本学級経営学会第4回学級経営研究学習会(オンライン開催)がすごかった〜学級経営研究が確実に動いていることを実感する



全体の感想

事前では参加できないはずの本学習会だったのですが,諸々の諸事情が重なり(つまり,台風第10号の影響ですね),本学習会がオンライン開催になったこととわたしの仕事がズレたことにより,この学習会に参加することができました。


結果,めちゃくちゃすばらしい学習会でしたね。

たぶん,この会に参加した方々はわたしの考えに同意してくださるのではないかと思っています。(というか,素晴らしかったと思ってほしいですねぇ)


少しでも,学級経営研究に興味関心のある方は,今回参加してなくて損をしたのではないか,少し遅れを取ったのではないかとくらい思わせるものでした。


少しずつ少しずつ,「学級経営研究」をしたいからこその「研究」というものが,形作られていっているような手応えがあります。

2018年2月1日に「日本学級経営学会」は発足したわけですけど,それなりの歴史を重ねて前進していることを実感しました。


わたしが参加者数を確認した時の最大数は83名でした。今後,この中の何人が「学級経営研究」を推し進めて,何人が本学会の年次大会で発表し,論文を投稿するのか,とても楽しみです。もちろん,今回の学習会にて,「めちゃくちゃ難しいじゃん」とか思った方もいらっしゃるかもしれませんが,それ以上に「おもしろい」「興味あるある!」と思われた方が多かったと思います(思いたいです)。


進行と挨拶

2025年3月1日(土),日本学級経営学会第7回研究大会は東京学芸大学で開催することが決定しています。今回は,そのプレ集会的な意味もこめて行いました。

それゆえ,企画運営の中心となったのは松山康成先生,大村龍太郎先生。

参加された方が居心地良くすごせるようにという配慮に加え,今回の趣旨説明と目的をしっかり伝え,この時間の方向づけをしてくださいました。さすがです。実践中心の「学級経営実践セミナー」とは趣が異なり,もう少し「研究」という視点の発表であること,そして,他の教育研究と比べた学級経営研究の特徴のようなものも取り上げてくださいました。

納得しかありません。


4人の方の発表

4人の方の発表が素晴らしかったのは単に「研究発表」ではなかったことです。

わたしは,企画運営段階に参加していなかったのでこのような発表形式になっていることを知りませんでした。

この4人は,今年3月の第6回研究大会で発表をされた方です。わたしは,単にその発表の繰り返しか,またその発表に修正を加えたものを発表し,学会で発表するということはこういうものですよと,あまり学会発表に縁のない方にお知らせするだけなのだと思っていました。

しかししかし。第6回研究大会で発表したことに加え,「どうしてこの発表をしようと思ったのか」「そもそも,なぜ学会発表をしようと思ったのか」「自分にとって研究をするということはどういう意味を持つのか」「現場で仕事をしながら研究をするということはどういうものか」なども加えての発表でした。

参加者の多くが現場の方でしたから,自分ごととして考えることができたのではないでしょうか。


後の講評の佐内信之先生が講評の最初におっしゃっていましたが,現場で仕事をしながら学会発表の準備をして実際に発表をするという姿勢に尊敬します。

たぶん,「たいへん」なのは間違いないのですけど,それと同等かそれ以上の面白さを感じているのでしょうね。本当にすばらしい。


「すばらしいすばらしい」を連呼してて恥ずかしいのですが,改めて4人の学会での発表を聞いてみますと,しっかりと研究の手順を踏まえている方が多く,先述と重なりますが学級経営研究がこうした先見性のある,そして,興味関心を抱く方々の中にしっかり入り込んできていることがわかります。「やったこと発表」ではなく「わかったこと発表(あきらかになったこと発表)」になっていることが特徴ですね。


圧巻!佐内信之先生の講評

20年以上の付き合いのある佐内先生の講評。

どんなことを話されるのかなと思っていたところ……圧巻でした。

久しぶりに佐内さんを見た!という感じ。

というか,これ失礼ですよね。

考えてみれば,佐内さんがこうしたまとまった時間を話すという場面にここ最近対面していなかったのでした。もしかしたら,佐内さんはいつものことをされたのかもしれませんが,私は久々に佐内さんを見た!という感じ,従来の佐内さんに私とあまりやりとりがなかった時間の積み重ねをしたリニューアル佐内さんを見たという感じがしました。


いわゆる「講評」でした。

わたしがこの役割をしたら,それぞれのいいところをなんとなく見つけてお茶を濁して「みなさん,お疲れさまでした。それぞれの発表,とてもすばらしかったですね」などと語って終わっていたかもしれません(いやぁ,わたしがこの役割でなくてよかった)。

しっかり「講評」でした。批判ではなく,批評という感じですね。


佐内さんの資料の読み込み力は半端ないことは知っています。

ですので,ずっと前から一緒に関係を続けている「授業づくりネットワーク」において,いつも「資料の読み取り」だったり「過去の洗い出し」だったりの必要がある時は,すぐに「これは佐内先生の仕事だね(笑)」で決着します。

今回も,この力をいかんなく発揮されました。


4人の発表内容やテーマは様々なので,研究発表の手順として必ず触れるであろう,そして,とても大切な「先行研究」に着目し,各自の先行研究の取り扱い方について語っていったのでした。そのために,佐内先生は一つ一つ,各発表者が取り扱っていた先行研究にあたっていくという作業をしたわけです。まるで,査読じゃん……笑。

ここまでやらねばならないんだな,講評って。


ずっとずっと佐内さんの講評に聞き入ってしましました。

人それぞれの得意,強みってあると思いますが,佐内さんの強みの一つはまさしくこれです。

今回,佐内さんを「講評」という役割でお願いしたことがこの学習会成功の一つでしょう。


そして,たぶん,4人の発表者はわかってくださると思いますが,ここまで真摯に資料を読み込んで,丁寧に講評してくださった佐内さんから,数珠玉な宝物をいただいたと思えるのではないでしょうか。これこそ,発表したからこそのお宝です。


佐内さんの「先行研究」に注目するということの隠れメッセージとして,参加者のみなさんに,「自分の問いを大切にしながら,ちゃんと先人の実践や研究をまずは見てみましょう」ということでもあると受け止めました。時々,教育実践の中に簡単に先行研究や選考実践が見つけられるにも関わらず,それらをせずにさも自分が開発した,考えたような研究や実践として発表してしまう方がいます(自分にも戒め)。ちゃんと手続きを踏みたいですね。


もし,佐内先生の講評を聞いて,「研究ってやっぱりとっても難しいや」って思って,引いてしまった方がいらしたら残念なことです。4人の発表者は,研究をして発表をして,だからこそ佐内さんの講評があったのです。まずは,やってみて,悩んでみて,失敗してみて,ああじゃないこうじゃないと取り組んでみて,前に進むことかなと思います。そこに,「そうじゃないよ」「そこじゃないよ」と他者から言ってもらえることはとても幸せなことなのだと思えるかどうかが大切じゃないですかね。


大村先生がおっしゃっていました。

「研究」は「挑戦」なんです。「挑戦」には失敗があってもいいものです。

やってみて,こうするとうまくいかないのだということがわかることも研究によって明らかになった一つじゃないですか(阿部が意訳)。


うん,こういうことです。

とてもとても,すてきで満足な半日を過ごしました。


企画運営してくださった松山先生,大村先生,佐内先生。

発表してくださった深井先生,松下先生,渡邊先生,小野先生。

そして,参加してくださった(たぶん)83名の皆様。

ありがとうございました。


一緒に学級経営研究を進めましょう!








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