巷で,「シン・ウルトラマン」以上の賛否両論に別れている感じの「シン・仮面ライダー」を観てきた。
どのような世界観や価値観で見るかで評価が分かれるのだと思う。つまりは,マインドセットの問題。
「仮面ライダー1号,2号」を夢中になっていた世代が,そのままの感覚で大人になり,歳を重ねていった形でこれを見たのなら,なかなかおもしろいのではないかと思う。要は「あの時代の感覚,そのまま」である。
大人になっていくにつれて,子供の頃夢中になっていた,「子供番組」を本気で楽しむことができなくなるでしょ。実社会はそうじゃないとか,設定が馬鹿げているとか,あと……それだけじゃなくてなんか言葉にできない感覚。
その証拠に,20歳を超えてどれだけの人が,子どもの付き合い無しで今の仮面ライダー(今は,ギーツですね)や戦隊シリーズ,プリキュラを見ているかということ。
そういう意味で,「シン・ゴジラ」や「シン・ウルトラマン」とは内容が大きく違う。
この2つは,リアルな日本社会に「ゴジラ」や「ウルトラマン」が本当に存在したら日本人たちはどのように振る舞うだろうか……みたいな,シニカルな思考実験的な要素が含まれていて,すでに子供の心を忘れてしまった大人になった人達にも十分楽しめるというか,子供の心を忘れてしまったからこそ楽しめる作品であった。
しかし,この「シン・仮面ライダー」はその部分が全く違って,「仮面ライダー1号,2号」をあの当時楽しんでいた心のまま大人になった人なら楽しめるのではないかという映画になっている。
「シン・ゴジラ」や「シン・ウルトラマン」とはテイストが違う。
わたしはといえば,今でも,子ども関係なく「仮面ライダー」(つまり,今テレビ放映中の「仮面ライダーギーツ」ね)を純粋に楽しんで見続けている人間なので,その延長という感覚でまぁ面白かった。
映画の作りとしては,素人の私が観ても(素人の私だからか),低予算で作られたとわかってしまう仕上がりになっており,「バットマン」や「スパイダーマン」のようなハリウッド作品とは比べられない品質である。今でも日本はこの程度のものしかつくれないのだなと思ってしまうわけだが,もしかしたら,「仮面ライダー」という作品にハリウッド品質を重ねてしまったら「仮面ライダー」ではなくなってしまうからあえてああいうつくりにしたのだろうか?そこは……よくわからない。
庵野監督のインタビューでは,「ノスタルジーは大切にしたい」と強調していたので,低予算を逆手に取ってわざとそういうつくりにしたということも否めない,。
しかし,「デビルマンの実写版」などがそうであるように,そういうつくりは見慣れてしまっており,そういうつくりは見ていられない……という体質になってしまっているわたしたちにとってそういうつくりで勝負しようとするのは……どうなのだろうとも思う。
「仮面ライダー」は過去にもTVシリーズとは他に単独で映画が作られている。例えば,「仮面ライダー THE FIRST」とか「仮面ライダー THE NEXT」とかだ。これらに比べてどうなのか。ただたんに監督が庵野秀明さんだから注目されているだけなのか。
このあたり,他の方々のレビューも読んでいきたい。
Comments