研究室にコンコンとノックの音
「こんにちは〜」
ちょっと頭がこんがらがる。えっと,今,いつだっけ。
目の前にはいるはずのない学生の姿が。
ちょっといろいろとよからぬことを頭によぎりながら
「えっと〜,今日,なんだったっけ?」
「先生をびっくりさせようと思って。わたしの勤務校は2期制で今,秋休みなんです。そこで年休をもらって来ました。」
ほっと胸をなでおろす自分(笑)。
理由がわかった。そうだよね。彼は新潟県外の学校に勤めているんだった。
なんだそうか,と。
どうぞどうぞと椅子に座ってもらって話を聞く。
本日(2022/10/12)は水曜日。阿部ゼミでは定例的に午後は院生ゼミを行っている。事前にわたしが大学にいること,そして,ゼミが開催されることをゼミ生に確認して来たのだという。
午後は,上の写真のように,学生時代を懐かしむように,楽しんでゼミに参加して帰っていった。
先輩として,学生のうちに,今,気をつけておいたほうがよいこと,つまりは,今,自分がいろいろと戸惑っていることの実感を語っていってくれた。目の前の学生にはそういうものなのかぁとリアルな話に関して学びになったことだろう。
人生は「運」だなぁと思ってしまう
送り出した側としては,修了生の「今」が気になる。
研究室で2人きりでお話をしている時,いろいろと聞き出した。
結果,よい職場に勤めさせてもらっているようで,ほっとした。
子どもたちも,保護者も,同僚も,管理職も,そして地区の教育委員会の方々も,みなさんすてきな方ばかりらしい(ゼミ生の話を聞くに)。
修了生からは,もっと自分を高めたいというような内容の話は出るが,周囲の不満が一つも出てこない。
なるほどなぁと思う。
仕事に対しても,人生に対しても,いろんな成功要素があるのだろうけど……,一番は「運」なんだなぁと思う。
これは,常々,思っていることだし,送り出す学生にもよく話す。
私自身,平成元年に初任者として小学校の教壇に立ったわけだが,初任者校での3年間はこの修了生のように,子ども,保護者,同僚,管理職に恵まれ,何一つ不満のない仕事生活を過ごした。その後,長い教員生活を過ごしていく中で,いろいろな体験をしていくわけだけど,初任の素敵な経験があるからこそ,その後,教員として続けてくることができたと考える。
自分以外の人生を過ごせないので,わからないけれど,たぶん,この修了生やわたしとは逆の「運」に出会ってしまっている方もいるのだろうなと思う。何のイメージや代替もできないくらい経験が乏しい中で,どんどん自分が追い詰められていく生活をしてく方もいるのだろうなと思う。
これを「運」と言ってしまうのはなんとも忍びないが,今,学生を送り出していく側としてやれること,やるべきことは何なのか,わざわざ休みを取って,わたしたちに会いに来てくれた修了生に思いを馳せながら考えていきたい。
今日は,ありがとう。
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