表面の好きから一段降りたこだわりを見つめたところに授業構造が見える!
「自分の好き,強み,こだわり」にもとづいて,20分の実験授業(協同的な授業)を展開してもらうようになっています。
今日も,興味深く参加させてもらいました。
だからルールがあんなだったのね!
1つ目の授業。
社会科にこだわりを持つ現職院生のKさん。
すっと,都道府県を扱うことを宣言し,授業を進めました。
「そうかぁ。自分が社会科教師だから社会科かぁ……。少し物足りないかも。もう少し掘り下げがあるかなどうかな……」
そんな視点で見始めました。
すると,この授業はゲーム形式になっていて,進める時のルールが案外複雑でした。
画面いっぱいに文章でこのように進めます……という表示がされています。
うーん,テキスト有意の人ならまだわかるかもしれないけど,そうじゃない人にとってはこのルールはなんとなくわかりにくいのではないかなあ……などと思って見ていました。
授業は,そんなこんながあって,滞りなく終わりました。
授業後,短い時間で,この授業を考えた熱き思いを語ってもらうようになっています。
そこで,Kさんは,意外や意外,この授業では全然出てこなかったサッカーに関する熱き思いを語り始めたのです。
自分がどんなにサッカーが好きか,これを語り終えて,次に,どうしてサッカーが好きなのだろうと自分なりにサッカーを因数分解をした内容を語ります。
そこには,勝ち負けがあるから楽しんでいる自分,サッカーの駆け引きの面白さ,それをとても楽しんでいる自分……,そんなことを話した後,それらをどうにか今日の授業に入れ込もうとしてこうなったとお話されたのです。
授業そのものは,サッカーが全く登場しない,都道府県を扱った授業でした。
最後に,一言,
「別に都道府県じゃなくてもよかったのですけどね。自分は社会科かなと思って,都道府県を当てはめました。」
なるほど!!
(わたしの)謎は解けました。
だから,一見複雑で難しそうな,長文で説明する「ゲームのルール」があったのでした。
この授業での肝は,目標でも評価でもなく,「ルール」だったのです。そして,そのルールのもと,みなさんが楽しめたかどうかということだったのです。
私の中で腑に落ちました。
あっ,だから川柳の選考会だったのね!
2つ目の授業。
やはり現職のMさん。
いきなり,とてもとても魅力的なサウナの写真を提示するところからはじめました。
そして,サウナにはよく壁にサウナ川柳なるものが紹介されたり,貼られたりしているということで,各チームに分かれ,選考委員のメンバーということになり,川柳を選考していく……という授業でした。
ただ単に一番いいなと思う川柳を選んでください,ではなく,自分たちを選考委員にしてしまうという魔術をかけてしまうところなど,さすが,場作りがうまいなぁと思って見ていました。その選考の仕方も,実際にそのような選考方法があるのではないかという感じで進めていらっしゃいました。骨子だけを見れば,ワークショップの技法でよく見られるようなランキングを用いているのですけどね。それをうまく選考の場という形で覆い隠しています。
とはいいつつも,わたしは「サウナ」の魅力の紹介から始まり,その流れがサウナ川柳の選考かぁ……。自分の「大好きの部分」と「みんなに活動してもらう部分」が少しズレているんじゃないかなぁなどと思って見ていました。
サウナの気持ちよさを体験してもらうんだったら,人数分のサウナスーツを用意してサウナ体験してもらうとかさ,そうすれば自分が感じている気持ちよさをみんなにも味わってもらえるわけじゃないですか(実際は,一人ひとりにサウナスーツを準備するなんて無理ですけどね……笑)。
と,授業を終えて,熱き思いを語る場で,Mさんは次のような図を示して次のように語ります。
サウナ→水風呂→外気浴
拡散 →収縮 →弛緩
「自分はサウナでいうところの「ととのう」プロセスになんともいえない心地よさを感じています。それは,<サウナ→水風呂→外気浴>という過程を踏みます。これを別の言葉で言い表すと<拡散 →収縮 →弛緩>となるそうです。川柳選考の過程にこの<拡散 →収縮 →弛緩>を自分なりに取り入れてみました。みなさんどうでしたか。」
です。
ほえ〜。
すごいですぅ。
言わば,サウナそのものは身体の「拡散 →収縮 →弛緩」を踏むのだけど,今回Mさんが考えた川柳選考は思考の,感情の「拡散 →収縮 →弛緩」を狙ったということだったのですね。
一度,具体を抽象化,概念化,してから再度,具体に戻す
二人とも,今回の授業を「創る」にあたって,自分の好きな具体を一度,抽象化,概念化してから,再度,具体に戻すということをしてくれています。
一見すると,自分の中でも混乱に混乱を招く行為になったかもしれません。
でも,その行為を通して,少しでも自分のコアを見つける「フロー体験」をしてもらえたたとするのなら,それは別の場面でもきっと意識して,または,意識下で 使えることができるんじゃないかなぁと思います。
そんな二人に拍手を贈ります。
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