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執筆者の写真あべたか

「目標と学習と評価の一体化」は目標を教師が子どもたちに与えるものと誤解されていることに関して〜学生と話をしていて改めて感じた〜



「目標と学習と評価の一体化」への大きな誤解

本日(2024/7/26)のゼミで,ある学生が「目標と学習と評価の一体化」の考えに興味があり,私といろいろとお話をしたいと語りかけてくれました。

こうして,学生から声をかけてくれるのは,うちのゼミでは珍しくとてもうれしい話です(たぶん,わたしは気難しくて話しにくい感じに見られているのかもしれません。というか,雑談力がないんだろうなぁ……自己分析)。


「目標と学習と評価の一体化」というのは,私の中で,何かを推し進めるときの核になっているともいうべきものです。特に上の3冊に詳しいです。


とても大雑把に説明するのなら,下のようになります。

先生と子どもたちが目標を共有し,その目標に基づいた評価をフィードバックし合いながら,それぞれが最善と考える方法で学習していく学習デザイン

話をしていく中で,学生が次のような話をしました。


「子どもたちが個別に目標や計画を立てて進めるような自由進度学習などと違って,目標と学習と評価の一体化は,先生が目標を与えるじゃないですか……」

ん?

頭にひっかかりました。

「そういえば,こういう話ってよく聞くなぁ」

そう言えば,最近の講座の中で次のような質問がありました。

先生が提案されている,「目標と学習と評価の一体化」の考え,たいへん魅力的だなと思いました。しかし,一点,疑問と言いますか,質問がありまして。子ども主体の授業とか,個別最適な学びとかを考えますと,授業の開始時や単元の開始時に教師が目標を与えるのではなくて,子どもたち自身が作るべきだと思うのです。「目標と学習と評価の一体化」は先生が目標を与えるような構図になっていて惜しいなぁと思いました。

うーん,大きな誤解があるなぁと思いました。

大きく2つあります。


「目標と学習と評価の一体化」と「自由進度学習」はレベル(階層)が違います

1つは,「目標と学習と評価の一体化」は例えば,「自由進度学習」のようなものと同じレベルにありません。もう1つ,2つ下のレベルになります。ここを同じレベルと思われると話が噛み合いません。つまり,「目標と学習と評価の一体化」の考え方で「自由進度学習」もできます。もちろん,目標と学習と評価の一体化」の考え方を取り入れずに「自由進度学習」もできることでしょう。提唱しているわたしとしては,「自由進度学習」を進めるにしても「目標と学習と評価の一体化」の考え方を取り入れたほうがよりよいと思いますけど。

そういう意味では,「目標と学習と評価の一体化」の考え方で「一斉授業」もできます。(一斉授業にこだわる方であっても,「目標と学習と評価の一体化」は取り入れたほうがよいと考えています。まぁ,わたしは一斉授業はやりませんけど……笑)


どの授業でも(学習でも)目標は決めているはず

2つは,どの授業でも(学習でも)目標は決めているはずということです。

これは,「目標と学習と評価の一体化」の誤解というよりも,他授業の誤解かもしれません。


例えば,単元の授業開始時に,子どもがその授業,またはその単元の目標を立てて進めるという授業をしたとします。これを証拠に,だから「目標と学習と評価の一体化」は成り立たないという話になるのかもしれませんが……。


いえいえいえいえ。ちょっと待ってください。

この授業の場合,「子どもがその授業,またはその単元の目標を立てる」という目標でその時間を過ごしているわけです。


ということは,「目標と学習と評価の一体化」の考え方に立てば,「子どもがその授業,またはその単元の目標を立てる」という目標を子どもたちと共有して,「目標と学習と評価の一体化」した授業を,学びを進めることが可能なのです。あとは,そうするかどうかは授業者の判断になります。

ここ,おわかりでしょうか。


基本,授業において仮に子どもたち自身が目標を立てる授業であったとしても,その目標を立てるための目標があるはずなのです。ここをきれいに忘れてしまっています。


目標の考え方

時々,「自分は目標を設定しないで授業を進めるので」という方を目にしますが,まぁ,それはそれでその方の授業観ですから……という別次元でのやりとりになります。少し,考えを述べさせてもらえれば,授業を通して「子どもたちの向上的変容」を目指すのであれば,「目標」はあるべきですし,ポジティブ心理学と関係するPERMA理論や,ゲーミフィケーションなどからしても「目標」を子どもたちと共有できて,初めてウェルビーイングへ向かうことができますし,モチベーションが向上しますし,マイクロフローの世界へと導くこともできると考えます。そうすることで,子どもたちは主体的な学びができる環境が整うわけです。


本日,学生とのやり取りで,そうだなぁ,誤解されているなぁとあらためて気づくことができて,こうしてブログに書き残すことができました。

学生との対話,ありがたいです。

ありがとう。感謝します。


たぶん,私のゼミ生にも誤解している人が多いように思うので,一人でもこのブログを読んでもらえたらうれしく思います。


(私のブログ,知らないゼミ生が大勢いるんですよね……たぶん。苦笑。)









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